付け句 じっと手を見る
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先の記事で書いた課外活動の一つに、百人一首を読むという読書会があった。主催者の企画力と人望のおかげか、すぐに十人ほど集まり、大変に盛り上がった。そのままみんなで二次会、と新宿でひとかたまりに移動する集団は、周りにはどう見えただろうか。年齢にばらつきがあるにもかかわらず、だいたいが敬語で話しているので、不思議な関係性にうつったのではないだろうか。
その不思議な関係性の男女が、いつの間にかその場で短歌を作りあっていた。大人の遊びみたいだ。しゃれてるじゃないか。
まあ、僕は最初ものすごい、嫌がったのだけれけど(だって、けなされたら悔しい)。
僕はその読書会のちょっと前に、十年ぶりぐらいに中学時代同級生だった女の子と会った。彼女は二年ほど前に結婚していて、今は旦那さんが単身赴任中だという。スナックで働きながら暇をつぶしているのだそうだ。結婚したことはお客さんには隠すらしい。「夢を見させないといけないから」
聞きながら、彼女の指を見ていた。結婚指輪をしていないけれど、結婚している彼女の、指を。
「久しぶり」大人になった僕たちがお酒を持ったじっと手を見る