アオアルキルキア

不定期連載

題詠 君の名は

 

題詠 君の名は

 

新海誠監督の新しい映画が世間では大フィーバー(死語か)

でもまさか、新海監督も、短歌のお題になるなんて、考えもしなかっただろう。

君の名は、君の名は、と頭で繰り返してみるが、雲をつかむかのようだ。

映画を見ていなくても、この「君の名は」は、好きな人の名前のことだとわかる。違ったらすごい。そういう「君の名は」を頭の中で繰り返すが、どうもピンとこない。それは今、僕に好きな人がいないためにおこる、僕のそばの「君」の不在だ。頭のどこを探しても、君の名前がいない。

 

しかたがないので、好きになった人の名前を、頭で繰り返してみる。

やっぱり、遠い。

頭に繰り返したところで、もう会わない。もういないといってもいい。

それは、声に出したところで変わらない。思い出そうとすると僕の呼びかけにふりかえる昔の君の顔が浮かぶ。

君の名前は、君の表情になっている。

なんということだ。

そうして今は、別の誰かにふりかえっているんだろうか。

 

 酒を飲んでいたので、尿意をもよおし、トイレに行きながら、自分の失恋と、流行映画のタイトルを重ねてしまった。いろいろと失礼だ。でも、文字数を頭の中で考えず、先に言葉が浮かび、トイレから出て文字数を確かめた。作っていくと、文字間隔が出来上がってくる。まさに、おりてくるというやつか。

おおげさか。

 

 

 

君の名は声に出すほど遠くなる ふりむかないで僕以外には