アオアルキルキア

不定期連載

題詠 オラウータン

 

題詠 オラウータン

 

 短歌には、題詠みというのがあって、簡単に言えば「お題」である。

 

それは唐突であるほど面白いし、作り甲斐がある。

オラウータンなんて、生活にいない。生活にはいないが、動物園で見たことがある。

思い出しているのか、妄想しているのか、よくわからないが、女の子が、お父さんと手を繋いで、オラウータンを見ていたら、なんとなく微笑ましくないか。どうかな。

僕が昔女の子だったわけでもないのに、なぜかそんな映像が浮かんだ。

どうでもいいことだが僕の両親は離婚していて、父親と最後に会ったのは、小学生ぐらいだっただろうか。

僕は父と、手を繋いだことがあっただろうか。

 思い出せない。

 

 

 

 

遠巻きにオラウータンの大きな手 恥ずかしながら父と繋ぐ手