アオアルキルキア

不定期連載

お知らせ

緊急事態宣言が終わるまで意地でも更新を続けようと思いましたが、しばらくお休みします。いつも読んでいただき、応援していただきありがとうございました。note、twitterなどで様々なことをやってきましたが、公に活動できるという段階に入りましたら、全て…

児童文学のメモ(冒頭のみ)

1 朝になるといるんだ。緑色の変なのが。最初は僕にしか見えないなんて思いもしなかった。驚いて声をあげたら、お母さんもお兄ちゃんもおばあちゃんも目を丸くして言うんだ。 「どうしたのって?」 僕一人だけが椅子をひっくり返して腰をぬかして、あいつを…

毎日死ぬことにした

久しぶりに日記を書く。 昨日、引っ越して、初めて会社まで歩いていった。 会社からは一駅で行けるようになったので、試しに、歩いてみたくなった。 朝から天気がよかった。 グーグルマップで会社の住所を目的地にして、僕の部屋の新しい住所を出発地に設定…

ミネトンカは、はかない

ミネトンカは履かない。 小動物?りすとか、あとは猫?っぽいだとか言われるけど、全然ピンとこないな。でももしかしたらアタシには見えない首輪があって、冷たい鉄でできた鎖が、あ、首輪自体ももちろん鉄で、だからピンク色の痣とかも首にはあって、もちろ…

戯曲のメモ

A 校舎の裏、まりとあみが二人、体育座りして、向かい合っている。まり、ふと思いついたように立ち上がる。 まり「今からうたをうたいます」 あみ「え」 まり「歌います」 あみ「あ、はい。」 まり「わたし、今から歌を」 あみ「や、だからどうぞ!って」 ま…

いつかの断片 (2)

「おーい、ふつーの佐藤くん」 「って言われて、佐藤正男くんはふりむいたんだよ。なんかさ、え、なにそれ?って思ったわけ。だってわかんないじゃん、その時点では。俺も佐藤だし正男くんも佐藤なんだから。だから、きいたわけ、え、なんで振り向いたの? …

いつかの断片

同じ言葉しかいえないロボット バス停のようにずっと同じ位置に立っている。 「あ、僕ですか? 僕は、元犬です。貴方は?」 「猫です」 「まるでボーイミーツガールですね」 「どこが?」 「よく言われてるじゃないですか、犬と猫って、忠実、従順とか自由気…

優しい北海道

雪を「痛い」という、 遠くに、 そんな場所があって、 僕は、四季を想像した。 冬が寒いのでなく、痛いのなら 夏は暑いのではなくて、優しい。 定理を発見した。 僕は遠くの君のそばにある、 定理を発見した。 シャボン玉を「丸い」という、 わずかに、 こん…

映画

好きな映画のはなし 思いだすのはいつも エンドロールの場面 二人で見た終わり 「何年かしたら、もう一度見ようね」って そういう僕らはまるで主人公 「何年たっても二度目はないから」って そういう僕らの映画だよ (本日の東京の感染者数 三七八人)

めんどく

積ん読という 比較的最近の ことばがあるけれど めんどくさいものも 後回しにできてしまうので どんどんとたまっていってしまう だから僕はこれを めんどくと読んでみることにした 家族のことはだいたいがめんどうだし 仕事は 誰かが行うめんどうを お金をも…

十二使徒を思う

今日は在宅勤務だった。 仕事が終わって、今日はキッチン周りの物を箱に詰めた。その前に料理もした。 今住んでいるところでは最後の料理のつもり。明日も明後日もまだ、この部屋でご飯は食べるけれど、自分で作ったからこそ、これは晩餐なのだと思いたい。…

ちょこれいと・スクール (バレンタイン 5首)

「グリコする?」(わたしパーしか出さないよ)「買ったらあげる」彼の指が好き 鞄には一回溶けたチョコレート ふられる前から甘くて苦い 男の子から男の子チョコレート 型はないから形も自由 告白はむしろ普通の日にするよ これはあんたにあげたいだけで 「も…

十年一日

今日はお休み。 十箱目。 ひたすら箱にものをつめる。 今日は太宰治、安部公房、水木しげるの文庫本、それからCD、邦楽や洋楽、アンビエント、ピアニストのアルバム、それからトレーディングカードゲーム(マジックザギャザリング)の膨大なカード。トイレッ…

九分九厘をつめる

今日は久しぶりに出社した。 帰ってから、九箱目をつめた。まだ本がある。 絵本や画集がいろんな形をしているせいで、必然的に一つの箱にはまとめられない。 八箱目と九箱目、本のジャンルはほとんど同じ。 八箱目は辞典が幅をとったが、九箱目は、絵本をた…

八方美人をつめる

在宅勤務だった。 八箱目。 今日も本をつめる。段ボール箱が足りるか不安になってきた。残っているものは、まだたくさんある。歌集や辞典、それから広辞苑や文芸誌。あまったところに入りきらなかった文庫本や漫画本、ハードカバーやソフトカバーの小説にド…

七歩之才をつめる

今日も在宅勤務だった。 七箱目。 今日も本をつめた。僕の棚をもう少し解説すると、三列ある棚の、一番左、上から三段目は日本文学の文庫本、四段目は海外文学の文庫本。一つ飛ばして、一番下には一番大きくて、重い本ばかりの画集のコーナー。そういうまと…

六菖十菊はつめない

今日は在宅勤務。 六箱目。 本棚の本をつめる。僕の引っ越しのメインイベントのような心持だ。 一番大きい棚に、色んな種類の本が入っている。 種類というのはたとえば小説、詩集、歌集、演劇といった内容の違いだけではなく、文庫サイズ、新書サイズ、四六…

五里霧中をつめる

生意気にも、公開設定を制限した。 質問に答えていただければ読めるようになっている。質問の答えはこのブログのタイトル。 今日は五箱目。 キッチン周りの物を色々としまった。キッチンタオルのストックだとか、エプロンやコースターなどの小物、コンビニで…

四方八方をつめる

今日もお休み。 四箱目。 靴をいくつか。革靴を黒く塗るクリーム(なんというのだったか)、革靴をつやつやさせるニス。ガラスを拭く棒(名前がちゃんとありそう)。僕が描いた油絵(タイトルのあるものは一つもない)、サンダル、それに、玄関に置いていた…

三釁三浴をつめる

今日はお休み。 新しく住む部屋の契約書が先に送られてきた。一日一箱といいつつ、お休みなのでたくさんつめた。でも今日書くことは三箱目にいれたものについて。 今住んでいる僕の部屋は、白い部屋だったので、新しく買ったものは、白で統一した。テレビ台…

二束三文をつめる

今日も在宅勤務だった。 また一箱、部屋の物をしまった。 今日は机の引き出しにある文房具や、文章を印刷するためのプリンター用紙。アイロンだとか、毛玉取り器も一緒にしまう。引っ越しは二週間あとくらい。使わないでも大丈夫そう。アイロンは在宅になっ…

一石二鳥をつめる

今日も在宅勤務だった。 少しずつ引っ越しの準備を始めている。緊急事態宣言は、まだ終わらない。引っ越しまでまだ二週間ほどあるが、僕は要領が悪いので、一日一つずつ、部屋にあるものを、箱に詰めていくことにした。 「引っ越しをする」ことと「毎日日記…

鼓動が聴きたい

今日も在宅勤務だった。 リモートワークが続くと、僕は寝つきが悪くなる。他の人はどうなのだろうか。コロナ禍は、良くも悪くも、知らなかった自分の性質に気がつく。まず、なかなか眠くならない。布団に入っても、目が冴えてしまう。やっと眠ったと思ったら…

再結成をしてみたい

今日は在宅勤務だった。 バンドを組んだこともないのに僕は、再結成、というのをやってみたい。 僕は中学生ぐらいのころから、音楽を聴き始めた。 自分のお小遣いで初めて買った邦楽シングルは、ハイロウズの「青春」。それから兄に「このバンドの二人は、元…

ゾンビになれる

今日は出社した。 緊急事態宣言が一ヵ月ほど延長するようだ。 春が近づいている。一度目の緊急事態宣言は、昨年の四月。色んな人に「コロナが落ちついたら会おうね」「コロナが落ち着いたら遊ぼうね」というようになった。僕たちは本当に再会できるのだろう…

イエス ノー 僕らは言う

今日もお休み。 今日も言葉について書いてみる。 今日は、言葉は言葉でも、合言葉。今でも使っている人は果たしてどれだけいるだろうか。 夜更けすぎ、忍者の格好をした人が屋敷に忍び寄り、戸を叩く。 すると小声で中にいる人がいう。 「山」 忍者の格好を…

「X-MAS」なら、読める

今日はお休み。 僕は日本に住んでいるので、日本語だけは人並みにしゃべることができる。だけど、外国語は総じて、苦手だ。 小学生くらいのころに、ローマ字を習い、ひらがなや漢字以外の文字の仕組みやその音を知った。それから、中学生になると英語を習っ…

ワンダフルフィッシュ 今夜また

今日も出社した。 僕の会社のエントランスには大きな水槽が置いてある。 小さな熱帯魚がいつもそこを泳いでいる。イソギンチャクもいて、水槽の中に置かれた岩や木の上を這うようにして動いていた。朝見たときと違う位置にいることで、こいつは動くやつなの…

ヴァンパイアを作る

本日も出社した。 自作のゲームを作ったことがある。 中学生くらいだった。テレビゲームではなく、紙とサイコロを使う。何で作ろうと思ったのかはさっぱり思い出せないが、何かの拍子に思いついた。 それは、こういうもの。 大きな模造紙を買ってきて、まず…

ウルトラ見てしまう

今日も出社した。 お昼休憩のとき、のどが渇いたので、ペットボトルの、ほんのりレモンの味がする炭酸を買った。つい癖で、まだ中身があるのに、外側のラベルをはがしてしまった。 僕の住んでいるところではペットボトルを捨てるとき、ラベルをはがさないと…