アオアルキルキア

不定期連載

生活の中に料理を添える

料理を、習慣化していきたい。自炊はしばらくは続くのだが、途中でやらなくなってしまうことが多い。在宅勤務を機に、料理を作ることを生活の一部にしていこうと思う。

まだコロナではない日記三日目。昨日の事件があったので、今日は少し早く起きて、リモートワーク用ソフトウェアに接続できるかどうかをまず確かめる。つながらないようなら出社しなければいけない。つながった。出勤打刻の三十分前まで寝ることにする。起きる。朝食はコーンスープだけにする。コーヒーを飲む。出勤打刻。昨日から引き続き同じ案件の資料作り。詳細は機密情報にあたるため書けない。お昼ご飯は全て昨日の残り物。引き続き延々と作業。福岡支社からさらに二件の資料が送られてくる。チェック、推敲、送り返して修正案を提案(というかほぼ指示)。あっという間に業務が終わる。

夕飯。三日間くらい先まで、献立をぼんやりと考えて今ある野菜は全部先に切っておくことに決める。週末はカレー、君に決めた。明日はなんかしら炒めよう、それってなんも決めてない。

阿保みたいに野菜を切って使う料理ごとに分けてタッパーに入れて冷蔵庫に入れる。そして今日は豚肉があるし豚丼にする。というか何も考えずグラム数と値段だけで買った豚肉が「豚丼・生姜焼き用」と書いてあったので「じゃあそれで」誰かに決められた感じ。僕のポケモン(豚肉)なのに。

豚肉を切って、酒と醤油と砂糖を入れてつけておく。そのあとで玉ねぎをひと玉、薄切りにする。号泣しながら切る。悲しくないのに泣くのってなんだか嫌だ。いっそ悲しくなりたい。そんなわけがない。みりんもにんにくもないので、玉ねぎを油で炒めながらパスタを作ったときに使った醤油ガーリックのドレッシングをニンニクとみりんのかわりにする。ニンニクはわかるが、みりんが醤油でいいならみりんこの世にいらんがな。まあ、ドレッシングだから、色々味ついているし、といいきかせて、絡める。しばらく炒めてみるが、玉ねぎがいつまでも白い。味がちょっと、足りない。醤油と酒を足す。ようやく色が変わってきた。先ほどつけておいた豚肉を突っ込んで蒸し焼く。しばらくすると色が完全に変わってきた。いい感じ。その間にキムチやインスタントの味噌汁を盛る。十分に味がしみ込んだので、鍋を変えて、ティファールで沸騰させたお湯で半熟卵を作る。

最後にオクラも添えようと思い、切ろうとして、手が止まる。

オクラってゆでてみたらどうなるの?

ゆで卵をゆでているお湯の中にオクラも入れてみる。

オクラは浮いた。

ぐつぐつと煮え立つお湯の中でぷかぷかとオクラが浮いている。中の種はどうなるの?

爆発したりして。しかし、ただ浮いているだけ。溺死したナメック星人みたい。そんな瞬間見たことないけど。数分経ったので、卵とオクラをお玉で取り出す。ご飯が炊けたので盛り付けて豚丼完成。

ゆでたオクラは切ってみると粘りがほとんどなくなり、しなしなに縮んでいた。考えなしにしてみたが、結果を見ればまあ当たり前か。馬鹿か。

で、全部食べる。全部おいしい。ゆで卵は、すぐに冷水で冷やす、みたいな工程を踏まなかったせいか、殻をめくるのに難儀した。修業が必要だ。

 

毎日何か料理をしているが、外食で食べるようなものとほとんど変わらない。自炊は健康にいいかと思ったけれどそうでもないかもしれない。レパートリーが少なすぎるせいだが。音楽を聴きながら仕事ができるのはいい。ついでに机に向かって黙々と作業することには全然ストレスは感じない。小説をちまちま書いてきたおかげか。

 

まだコロナではない日記。本当にただの日記になりつつある。未来に僕が読み返す分には意味があるかもしれないが、誰かに読ませる意味合いを持たせるためには、ちょっと、味が足りない。料理と一緒か。少し加えて、色が変わるようなものを書いていく。卵の殻がきれいにめくれるような、すっきりとして、気持ちいいものがいい。ゆで卵は先に小さな穴をあけて、沸騰したものはすぐに冷水にさらしてからめくるときれいにめくれるらしい。知らなかった。

思いついたもの、小さく穴をあけておく。一度冷まして、割ってみる。綺麗に殻がとれるだろうか。

そのタイミングはまだ、僕には修業が必要。