アオアルキルキア

不定期連載

ブログも再開する

久しぶりにブログを書く。

ブログを再開した理由は二度目の緊急事態宣言が発令されたためだ。

元々緊急事態宣言ブログなどではなく、思うことがあれば更新しようと考えていたブログだった。

二〇二〇年四月七日、史上初の緊急事態宣言に思うことがあり、発令二日後から毎日更新していた。そして同年五月二十五日に解除され、その日以降更新するのをやめていた。

僕はこの『一回目の緊急事態宣言が発令されてから二日後にブログを再開し、書き続けていた』ことをそのまま覚えているので、調べないでも一回目の緊急事態宣言が発令された日と、解除された日を思い出すことができる。

また期間もなるべく計算しやすくしたかった。ブログのタイトルを"あ"ではじめて、あいうえお順に書くことにした。四十六文字のひらがなが終わったので、アルファベットで続けた。aで終わった。四十六日分のひらがな、とaの一文字、はじめたのが二日後なので、全部たすと四十九日間だ。一回目の期間も計算できた(だから何だ)。

今日もまた、記録されることになる。

「二回目の緊急事態宣言が発令されたのはいつだっただろうか」と、思いを巡らせる未来があるかもしれない。発令が決定したのが昨日で、始まったのは今日だ。それがいつかを思い出すことなど、なくても全然いい。ただ記憶に留めておいたほうがいいと思った。僕は忘れっぽいので、記憶するために記録しておきたかった。そうしておいたほうがいい、というのはただの勘でしかない。でもきっと意味がある。だからまた、解除されるまで毎日書いていこうと思う。とりとめのない話でも、他愛のないことでも、この生活で思うことの全てがコロナ禍の中に生じている僕の現象だ。

 

一回目の緊急事態宣言は、四十九日間だった。

四十九日ときくと、人が亡くなって天国に行けるかどうかが裁判される期間を思いだす。

広辞苑には――前生の報いが定まって次の生に生まれかわるまでの期間。俗に、この間死者の魂が迷っているとされる――と書いてある。政府は確かに迷っていた。史上初の緊急事態宣言を「日本の魂が一度死に、それまでの生き方から離れ、生まれ変わるまでの期間だった」と喩えたとすれば、その結果、政府や国は一回目の緊急事態宣言を終えて、一体何に転生していたのか。(コロナで亡くなっている方もいることを考えると、この喩えを不謹慎と思う人もいるかもしれないが、この後の文章を読んでもらえば、僕に故人へ追い打ちをかけるような意図は全くないことはわかってもらえるはずだ)

緊急事態宣言が再び発令されるまで、半年しか間がなかった。

もしも、先の四十九日間の後、国が、政府が、生まれ変わり、再び今生を終わらせ、また裁判にかけかられる期間に入ったとするのなら、前生とは二〇二〇年五月二十六日から二〇二一年を迎えて一週間ということになる。この短期間の日本や政府の生き方の報いで、次の生が定まるのならば、次に生まれてくる魂に僕たちは一体何を期待ができるというのか。

まるでやり直しのような緊急事態宣言は「こんな生き方だとやっていけないから、もう一回転生します」みたいに思えてくる。ゲームのようだ。

 

「今度はうまくいくさ」

「本当に?」

 

僕たちは、迷ってばかりの魂と同じ船にいる。船の上ではたくさんの悲鳴が聞こえる。

「やり直すなら、もっと早くにやり直せばよかったのに!」「不安しかない」「飲食店が悪者みたいだ」「なんでその業種はよくてこっちの業種はだめなの」「鬱になりそうだ」「政治家は会食をやめろ!」「医療崩壊寸前? わかってない。もうとっくに崩壊している」「どうして補償をしないんだ」「全部お前たちのせいだ」「今さら何を言う!」「責任をとれ!」「船から降ろせ!」「船頭を変えろ!」「この船を選んだのは、他でもない、投票に行かなかった君たちではないか!」

 

これはゲームではない。やり直せるわけがない。

政府の魂は、また彷徨い、あてもなく歩くのだろうか。

水先案内人はいない。

 

二回目の緊急事態宣言は来月二月七日までを予定しているようだが、また延長するかもしれない。二度目の緊急事態宣言も、史上初だからだ。言いようのない不安はいつまでもなくならない。どうかこれ以上誰も苦しんでほしくない。どうかこれ以上誰も亡くなって欲しくない。どうかこれ以上誰も自殺してほしくない。どうかこれ以上誰も感染してほしくない。この船の上で、祈る以外に、僕たちにできることは何だろう。

  

 

昨日の東京の感染者数は二四四七人。恐ろしい数だが、東京だけでなく、様々な都道府県が過去最多数だった。全国の感染者数七五七〇人も過去最多。死亡者数も六十五人で過去最多だった。重傷者も過去最多。明けて本日の東京の感染者数は二三九二人。全国では七八〇三人で、昨日を上回り過去最多。他、昨日を上回り、過去最多となった都道府県は十六都府県。死亡者数も七十六人で過去最多。

(すべてNHKニュースより)